machinohanashi 街のはなし

街のはなしのはじまり

まず、「街のはなし」のはじまりをふりかえると、その母体となったAOBA+ARTというプロジェクトについてお話ししなければなりません。

アートを、美術館のなかに閉じ込めたものではなく、街のなかに溶け込んだ誰もが気軽に受容できるものにしたい…そんなコンセプトではじまった催しが数えて8回目となりました。回を重ねるごとに、AOBA+ARTが地域のなかにじんわり染み込んだ、”いつもどおり”の一部として根付いていくと素敵だなと思っています。(2014年時点)

AOBA+ART実行委員長
蒲田 健(美しが丘住民)

AOBA+ARTとは、2008年から2017年まで続いた、横浜市青葉区の住宅街を舞台にしたアートイベントです。2008年に地域在住アーティストの本間純さんがディレクターとなり、様々なアーティストが参加し始まりました。地元住民で「街のはなし」実行委員会メンバーであり、「100段階段プロジェクト」代表の藤井本子さんのささえにより、地域にネットワークをひろげ、毎年のAOBA+ART実行委員長を住民の方々に担当していただきながら開催を重ねました。2011年には、本間純さんから海老澤彩さんが作家担当(キュレーションと制作プロセス)を、インテリアデザイナーのima(小林恭さん、小林マナさん)から野見山桜さんが街との取り組みの担当を受け継ぎ、作品の公共性を意識しながらコンセプチャルな企画をくみ、展覧会やワークショップなどをつうじて街の住民との協働を実現していきました。
AOBA+ARTには、これまでアーティストの池田光宏さん、栗林隆さん、初期のグラフィックデザインにブックデザイナーの永松大剛さんほか、いま活躍中のクリエイターたちが参加しています。(参加アーティストなどの情報はこちら

2014年に、谷山は、一過性のイベントとしてではなく街の資産としてのこるような作品をつくりたい、という思いで、街の緯度経度の座標に作品を配置するLat/Long project のインスタレーションのかたわら、冊子形式のアートプロジェクト「街のはなし」をたち上げました。(「AOBA+ART 2014」には谷山のほかに井口雄介さん、杉浦藍さん、イーハンスタジオ大津芳美さんが参加。)「街のはなし」冊子は、AOBA+ARTからの流れをくみ、冊子とロゴデザインを引き続き永松大剛さんにお願いしています。

地域について

横浜市青葉区美しが丘1~5丁目とその周辺地区
たまプラ-ザ・美しが丘の街は、60年代中期に新興住宅街として造成がはじまり、70年代初頭から一気に人々が移り住みました。そしていまや三世代が住む街になり、独自のアイデンティティーをもち、若い世代にとっての「故郷」となりつつあります。
イギリスのエベネザー・ハワードの田園都市構想(緑にかこまれ、働く場所があり、住民によるコミュニティが形式されている街)を下敷きにつくられた、緑ゆたかな環境、歩行者の安全がまもられた車歩分離の街なみには、当初からこの街が好きで住み続けている住民とこの街が好きであつまってくる人たちが、活発で明るく健康的な環境をつくりだしています。2008年に発足したAOBA+ARTや、2012年に始まった「次世代郊外まちづくり」の活動をとおして、地域全体には柔軟なネットワークがきずかれており、住宅街の開発以前からの地元住民、高度経済成長期の時代の潮流だった振興住宅街の住民第一世代から昔の話を収集することができる環境があります。

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